2011年03月20日

デンマークの職業教育・訓練を支える背景

東日本大震災で被災された方々、そして今も不自由な生活に耐えながら暮らしていらっしゃる方々に、心からお見舞いを申し上げます。震災当日は、デンマークのメディアでの報道もかなり大きな扱いで、友人知り合いからも家族の安否を気遣う問い合わせが相次ぎました。

目を疑うような悲惨な現状に、デンマーク在住の日本人も深く胸を痛めております。友人がデンマークの赤十字を通じて義援金を送ることができるアカウントを作ってくれました。デンマーク在住で円での送金が難しい方はこちらから、あるいは周囲の人々への呼びかけをよろしくお願いいたします。

また、今週末にはデンマーク在住のアーティストによるチャリティコンサートも行われる予定です。周囲ともお誘いあわせの上、どうぞご来場ください。
Japan_Charity_Concert_1_preview.jpg

東日本大震災が発生して、日本中で多くの事情が一変してしまった感もありますが、現場に駆けつけることができない私たちもまた、復興支援に向けての課題を共有していくことができたらと願っています。

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国土社から発行されている雑誌『教育』2011年4月号に、「デンマークの職業教育・訓練 デュアルシステム実現を適える背景」と題した文章を書かせていただきました。アマゾンでは地震の影響からか取り扱いがないようですが、BK1では購入可能です。
雑誌教育 2011年4月号.jpg

雇用能力開発機構が指揮を執って進めている「日本版デュアルシステム」ではドイツのデュアルシステムを基にして考えられているが、デンマークでも長く同様の教育方式がとられている。職業学校(専修学校・各種学校)での教育課程が座学と実習を組み合わせるものとなっていることで、職業的レリバンスの高い教育を行っている。これは若者に対する教育だけではなく、非伝統的学生といわれる成人の再教育の際にも適用されることで、人生の途中で専門を変更したいと考えた成人の「セカンドチャンス」の実際的支援となっている。

教育とは本人のみならず、国にとっても大きな投資であり、その間の生活保障をしてなお、支援したいものである。そのため、デュアルシステムでの教育の際にも座学中、実習中を問わず生活保障があるが、その根拠は(座学中は学生の立場で、国からの「奨学金SU」、実習中は研修生として、研修受け入れ先からの「実習生賃金」)それぞれとなる。こうした実習を伴う教育課程の場合には、実習先が実習生を雇用し、実習生用賃金を支払う。実習生が座学のために学校に戻っている間にも払っている給与を受け入れ企業側に返還してくれる基金制度が、実習受け入れを支えている。

上記原稿では、紙幅の都合もあり、日本の読者の文脈に落としていく努力を怠ったままになってしまった反省はあるが、デンマークの教育制度の概要やこれまで知られてこなかった企業内実習をかなえている基金「使用者実習返還基金」の存在などについて言及した点に意味はあるかと思っている。実習受け入れ先を見つけるのが難しいのはこのところ、デンマークでも同様に問題となっているが、国や制度がいかなるかたちでデュアルシステムの実現に臨んでいるのかという点で、日本への示唆にも富むと思われる。関心のある方に読んで頂ければ幸いである。
posted by Denjapaner at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育政策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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